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「ゆめちから」栽培研究プログラムが目指すもの

日本の小麦の食料自給率は11%、その中でも、パンに使用される強力小麦は3%程しかありません。
強力小麦は品種改良の歴史が浅く、また高温多湿の環境を苦手としているため日本では育ちにくいとされてきました。
そんななか、研究され生まれたのが「ゆめちから」という品種です。高品質で安定した収穫ができるため、広い地域での栽培が期待されています。
日本の小麦生産を増やし、日本の小麦で作ったパンを広めたいという、「ゆめ」に学生たちが挑戦します。


参考 : 農林水産省「総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等」(平成21年度数値)

プログラムの概要

北海道で生まれた国産小麦「ゆめちから」を学校で栽培し、パンを作ることができるのか。参加する学生たちが、学校でプランターを使って「ゆめちから」を栽培します。
高品質な小麦とは、収穫量やタンパク質含有量が多いことがあげられます。高品質な小麦を栽培するために、生育状況の観察、データの分析、実験を行い、最適な栽培方法を研究していきます。
また、栽培した小麦を使用して、パンを作り、みんなで食べる。
自分で、自分と自分以外のもう一人の食べ物を作る経験を通して、日頃食べているものが、どこから来て、誰によって、どのように作られたのかを意識し、人との繋がりの中に生きている自分を発見するプログラムです。

国産小麦「ゆめちから」について 	「ゆめちから」の「ゆめ」~日本の小麦栽培の現状~

日本ではパンに使われる強力小麦がほとんど作られておらず、パンの自給率は3%程(平成21年度 農林水産省調べ)しかありません。強力小麦は、比較的寒冷で乾燥した気候に適していますが、日本で収穫されているパン作りに適した強力小麦の多くは春に種をまいて、梅雨になる前に収穫する“春まき”の品種です。
しかし、“春まき”の小麦は収穫時期が梅雨にあたりやすい日本では、不利な性質をもっています。
雨が多く蒸し暑い時期には、植物の病気や、実が穂についたまま発芽してしまう穂発芽という現象が起きやすくなります。穂発芽が起きると、デンプンやタンパク質が分解されてしまい、小麦の品質が低くなってしまいます。
おいしいパンを作るには、安定した収穫量が確保できる品質の高い強力小麦が必要です。不利な性質を乗り越えるため、秋に種をまき、梅雨の前に収穫できる“秋まき”の品種で、病気や穂発芽などに強く高品質の強力小麦として生まれたのが「ゆめちから」です。

「ゆめちから」の「ちから」~国産小麦「ゆめちから」の開発物語~

日本でパン用の小麦を普及させるため、北海道農業研究センター(前職)の西尾善太さんらは、日本の気候に合う“秋まき”の強力小麦を品種改良する研究に取り組んでこられました。成熟が早く冬の寒さに強い特性を持つ品種と、超強力の特性を持ちパンに適した小麦の系統の交雑種に、タンパク質含量が豊富で丈夫な品種を掛け合わせたところ、“秋まき”で高品質な超強力小麦ができあがりました。
さらに、これまでの日本の品種にはない、病気に強い性質があり、雨にも比較的強いため、広い地域で栽培できる可能性を持っています。
その品種は、「国産パンを広げたい」という「ゆめ」に「ちから」を与える意味を込めて、「ゆめちから」と名付けられました。
生産者の皆さま、行政、お客さまと私たちPascoがともに取り組むことで、食料自給率の向上への「ゆめ」が実現する「ちから」はより強くなっていきます。

東京都出身、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。
1999年以来、北海道農業研究センターで小麦の育種を担当。
2013年 農林水産省 大臣官房政策課 研究専門官。
2015年 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 主任研究員。
2016年より現職。

「ゆめちから」が実る、その先へ

「製パン業を通じて食料自給率の向上に貢献したい」という想い。その「ゆめ」をかなえるための「ちから」となる、国産小麦「ゆめちから」。
「ゆめちから」を広げていくために私たちPascoができること、それ は一緒に育てる想いを共有し、実現していくことです。 実現した先には、今後日本の農業の進むべき方向性があると言えます。
「ゆめちから」は作付面積も、収穫量も徐々に増え、「ゆめちから」でつくったパンを店頭で販売する、ということも実現しました。しかし、収穫量は未知数であり、種も十分な量がないため、まだ継続的に販売できる量ではありません。
安定的、継続的に販売できるようになれば、国産小麦で安全・安心なおいしいパンをお届けできる。それが、食料自給率の向上へつながります。