こんにちは、北海道美幌町「さいこうファーム」の吉田です。
1月に引き続き、今月もゆめちからは深い雪の下です。
2月21日、22日は家の敷地の中でも遭難しそうなくらいの猛烈な吹雪となり、
先月掘り起こした『KAKAXI』はまたも雪の下に埋まってしまいました。
<雪の下のゆめちからの様子>
先月のブログの時点では膝まで埋まるくらいの雪でしたが(https://www.yumechikara.com/blog/?p=8247)、
今回の観察時には、約60cmの積雪がありました。太ももまで埋まりながら、深い雪の畑縁を進み、いつもの観察スポットへ。
除雪用スコップでザクザクと雪を掘り起こすと、そこには先月とあまり変わらないゆめちからの姿がありました。
先月と同じく先端の方は黄色くなっていますが、根本はしっかりとした緑色が残りまだまだ元気そうです。
▲雪の下のゆめちからの姿、弱った様子はみられません。
▲先月掘り起こした『KAKAXI』は、すっかり雪に埋まっています。
<雪がないと、北海道で小麦がつくれない?>
先月のブログで、小麦にとっては雪の下の方が温かい、ということを紹介しました。
そのあたりの事情について書かれている論文をみつけましたので紹介します。
(論文リンクはこちら、https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/39/2/39_2_97/_pdf/-char/ja)
この論文から、ゆめちからのような秋まき小麦は−25℃程度までの寒さに耐える寒さに強い植物だということがわかります。
ちなみに、北海道で一番冷え込む時期には−30℃まで気温が下がることありますが、
そんなときでも50cmもの積雪があると、地面の温度はおよそ0℃に保たれるため、小麦への凍害の影響はありません。
北海道に雪が積もらない年には秋まき小麦は甚大な凍害にさらされることになります。
https://news.livedoor.com/article/detail/17660023/
やっぱり、雪は温かいお布団のように小麦を守ってくれているんですね。
ただし、太陽の光が届かない雪の下では、小麦は光合成ができないため、
厚い雪の下では、次第に衰弱していくそうです。そういうときに問題になるのが雪腐病です。
この病気の原因となる菌は0℃付近で生育できるため、外気より温かい雪の下は絶好の感染拡大スポットになるのです。
積雪量が多い北海道の日本海側では発生が多く、積雪量が少ない道東側では
雪による保温効果が十分でないため発生は少なくなります。
雪がないと困るし、多すぎても困る、自然を相手にする農業は本当に複雑で一筋縄ではいかないですよね。
ということで、今月もまだまだ雪の下のゆめちからでした。来月にはもう雪が溶けている頃です。
次回は長い冬を越えたゆめちからの生育記録をお伝えしますね!雪の下から姿を表すゆめちからはどうなっているのでしょうか?