こんにちは、北海道美幌町「さいこうファーム」の吉田です。美幌町も4月に入り暖かい日も増えてきました。
最高気温が20℃を超える日もちらほら、まだ夜は寒いことも多いのですが、4月末には桜も咲きはじめ、ようやく遅い春の到来です。
<春に入ったゆめちからの様子>
雪解け直後の先月は、葉先が黄変している箇所が多くだいぶお疲れ気味のゆめちからでしたが、
4月30日の観察時点では、茎も少しずつ立ち上がり始め、葉色も美しい鮮緑色。みるからに生き生きとしてきています。
▲少しくすんだ色だった先月のゆめちからと比べると、明らかに元気な葉色になっています。先月の様子はこちらから(https://www.yumechikara.com/blog/?p=8346)
3個体をサンプルとして計測してみたところ、草丈はどれも19cm、分げつ数は13〜14。
葉色や葉の立ち上がりなどの見た目には明らかに変化をしていましたが、
草丈や分げつは先月に比べてわずかな増加となっていました。これからさらに暖かくなっていくにつれて、
草丈や分げつ数も変化していくのかもしれません。
▲近くから見ると葉っぱが少しずつ立ち上がって来ていることがわかります。葉色も実に鮮やか。
▲色の変化と比べて植物体の大きさはそこまで変化はありませんでした
<ゆめちからの分げつについての研究報告>
今回の観察では、先月に比べて分げつ数が1,2本増えているという結果でした。
ただ、春になって増えてくる分げつについてはおもしろい研究があるんです。
北海道網走農業改良普及センターの荒木さんは越冬前の分げつと越冬後の分げつが
その後どの様に成長するかを一つ一つ丁寧に調査していきました。
その結果、北海道のゆめちからは越冬前に葉数が2枚以上ある分げつのうち80%が最終的に穂を形成し、
越冬後にできた分げつは有効な穂にならないことがわかりました。
つまり、冬を迎える前にいかに分げつ数を稼ぐかが最終的な収量に大きな影響を及ぼすことになるんですね。
それぞれの分げつがどの様に成長していくか追っていくなんて、とても根気がいる
ちょっと地味にも見えてしまう研究ですが、農業的には直接収量にも関係するとても重要な研究ですよね。
分げつに関する研究をもっと詳しく知りたい人は是非下記リンクの論文を読んでみてください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcs/85/2/85_218/_pdf/-char/ja
もっと詳しく知りたい人は、荒木さんに話を聞いてくることもできますよ!
実は荒木さんは、現在、美幌町の普及センターに赴任しています。
なんだか不思議な偶然を感じてしまいますね。